| +Have a rest+ |
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カタカタ……カタカタ…… キーボードを打つ音が規則正しく聞こえている。 それを隣で聞きながら俺は雑誌をパラっと捲る。 今日は休みだというのに、ヒイロは相変わらずパソコンと睨めっこ。 特に急ぎの仕事が入ってると言うことは聞いていない。 なのに朝食を食べた後から休憩も取らず、もう昼を過ぎようとしていた。 こっそり画面に釘付けのヒイロをチラッと見やる。 相変わらずの端正な顔立ちは、時折瞬きをするだけで画面を正視している。 だけどその姿は何故か急いでいるようにも感じた。 (えらく熱心だな〜。) そう思いながら深くソファに腰を掛け直し、頭を傾けた。 いつしか雑誌を捲る手は止まり、キーボードを打つ音だけを追いかける。 その心地良いリズムに時折眠ってしまいそうになるのをなんとか耐えようとしたけど、 襲ってくる睡魔に勝てそうになかった。 うとうとし始めて気持ちよく眠れそうだと思ったとき、ピーという不快な音に意識は呼び戻された。 「ちっ!」 ヒイロの舌打ちがした。 キーボードを叩く指が忙しなく動かされる。 だけど次の瞬間プツンと音がしてパソコンは静かになった。 「くそっ!」 声と同時に拳が画面を叩いた。 「どうしたヒイロ?」 俺は雑誌をテーブルに置きながら聞いた。 「……消えた。」 どうやらフリーズして電源が落ちたらしい。 「あ〜そりゃご愁傷様、急ぎだったのか?」 「いや……。」 「だったらまたやり直せばいいじゃん。」 なにせ今日は1日中休みなのだ。 仕事が好きなヒイロは、放っておいたらいつまでもパソコンに噛り付いてるだろう。 「そうだな……。」 ヒイロが珍しく落胆した声で答えた。 そのままソファに身を預けて目を閉じている。 (そんなにショックだったのか。) 「とりあえず一息ついたら?何か飲む?」 「いや、いい。」 「そっか。」 「ああ。」 「………そんなに落ち込むなよ。ほらアレだ、パソコンも偶には休ませろって言ってんだよ。」 ヒイロが俺を見上げてくる。 「だからさ、お前も急ぎじゃないんだったら休憩しろよ。」 俺はヒイロの前まで来て提案する。 その俺の体を引き寄せてヒイロが抱きしめてくる。 俺もヒイロの頭を軽く抱き寄せる。 「休憩、俺も付き合ってやるからさ。」 少し照れ笑いしながら耳元で囁くと、ヒイロが顔を上げてきた。 (嬉しそうだなコイツ。) 最近ヒイロは表情が豊かになってきたと思う。 目は口ほどに物を言うってやつだ。 そんなことを思ってた間にヒイロの手が俺のシャツを捲り上げて進入してきた。 「っ……。」 「デュオ…。」 俺を呼ぶヒイロの声にゾクッとする。 「ヒ…イロ……。」 ソファに横たえられ着ていたシャツとズボンを下着ごと脱がされた。 与えられる快感に俺はヒイロのシャツを弱々しく掴む。 そして落とされるキス。 深く合わさるそれに自分も懸命に答えようとヒイロの舌を追う。 漸く開放されたときには俺の理性はどっかに飛んで行ってしまった。 後のことはよく覚えていない。 覚えているのは優しい動きと優しい声。 それはひどく幸せな気分だった。 「……デュオ。」 ヒイロの呼ぶ声に目を開ける。 ちょっとの間眠ってたらしい。 「悪い、寝てたか?」 「いや、ほんの数分だ。」 「そっか。」 ソファから身を起こしてヒイロと向き合った。 ヒイロが落ちてたシャツを拾って俺に掛けてくれる。 その仕草に恥ずかしさを覚えながらも嬉しさの方が強かった。 「大丈夫か?」 ヒイロが心配そうに聞いてくる。 「ああ、平気だぜ。」 シャツに腕を通し、笑って答えた。 「なぁ聞いてもいいか?」 「何をだ?」 「朝からずっと仕事してただろ?急いでない割りには焦ってたように見えたけど、何でだ?」 さっきから気になってたことを今なら聞いてもいい様な気がした。 「それは……。」 俺はじっとヒイロを見て次の言葉を待った。 「……早く終わらせてお前とゆっくり過ごしたかったからだ。」 言い終えたヒイロは横を向いて心なしか照れているみたいだ。 そんなヒイロの言動に今度はこっちが照れる番だった。 「お前が照れてどうする?」 「だって……。」 ヒイロが俺との休みをそんな風に思ってくれてたなんて思ってもみなかった。 その気持ちがすごく嬉しかった。 「サンキューなヒイロ。」 へへと笑いながらヒイロに抱きつく。 それを優しく受け止めてくれるヒイロのことが自分は本当に好きなのだ。 「じゃあさ、風呂入ってから夕飯の買い物行こうぜ!」 「しかし……。」 「なっ、偶にはこういうのもいいんじゃねぇ?」 「……そうだな、じゃあ。」 そう言っていきなりヒイロに抱き上げられた。 ビックリしている俺を気にも止めずバスルーム目指して歩いていく。 「お、おいヒイロ!」 「偶にはいいんだろ?」 珍しく笑いながらヒイロが嬉しそうに返してくる。 何だかもうヒイロのペースにはまっている。 仕方がないよな〜。 「まっいっか。」 こうして俺たちはバスルームに消えていった。 あとがき |